From:宮城 奈津子
産業革命以来、良い会社や強い会社というものは、「大きなビジネス」でした。巨大な資金を活用して、大量生産することで、生産コストを下げ、その分巨額の広告費に充てるビジネスのスタイルです。
万人が欲しがるような製品で、多くの人に役に立つ、便利な製品を作れる会社が「強いビジネス」だと。
一方で、資金を集められない会社や、大量生産できないもの、広告費をかけられない会社は、「弱いビジネス」だと。
そんな時代をずっと過ごしてきた私たちは、いつしかそれが「正解」だと思い込んでいました。もちろん、今でもそれは強く根付いていると思います。
しかし、従来までのスケールや大規模感が、以前よりも効果を発揮できなくなってきています。その理由としては、どの商品も機能的な差がなくなってきていることが挙げられると思います。
誰もが簡単に、良い製品を作れるような時代になったわけですね。
しかも、インターネットが普及し、誰でもメディアを持てる時代になりました。大きな会社のように、大量の広告費をかけてテレビでCMするよりも、たった一人のyoutuberにお願いして紹介してもらったほうが売れるという時代です。
メディアが崩壊し、大企業が苦戦するという時代。製品で溢れた中、万人うけする製品ではなく、消費者の求めるものはさらに細分化され、ニッチになり、より自分にとって「合う」ものを探し始めているわけです。
ニッチの市場規模は小さい?
こういった話をすると、「ニッチにしたら、お客さんが少ないから生活できない」と言われることがあります。確かに、ニッチにアプローチすることは、市場規模を「絞る」わけですから、ターゲットは極めて少数になるかもしれません。
例えば、日本の人口1億2千万人のうち5%の市場規模であれば、600万人がターゲットとなります。たった600万人のために製品を作るとなると、大量発注もできないため、コストは高くなってしまうため、ニッチ向けの商品は不利だとされていたわけです。
そうなったからこそ、どの会社も似たような製品、似たような機能を作り、従来の「正解」を求めて開発を進めてきました。特に日本の教育は、正解を出すことで評価されてきたので、正解とは違ったアイディアは、否定されてきたわけです。
でも、時代は大きく変化しました。
こういったもので溢れる時代では、似たような製品を求める人が、以前よりも減ってきたわけです。
先程言った通り、より自分にとって「合う」ものを求めるニッチにスポットが当たってきたわけですね。
しかも、そのニッチというのは国内規模のニッチです。国内の5%の需要を、世界を市場にすれば、もはやニッチとは言えなくなるでしょう。
ただ、ニッチでなければ世界で選ばれません。国内で万人うけする製品は、どこの世界で溢れているからです。世界中にいる「誰かのぴったり」になれるニッチだからこそ、世界でも価値があり、選ばれる製品になれるわけです。
アップルに選ばれた日本の木工会社
日本の広島に拠点を置く木工会社「マルニ木工」という会社をご存知でしょうか。
実はあのアップルのパブリックオフィスには、このマルニ木工の椅子「HIROSHIMA」が数千脚も並んでいます。日本の地方にある木工会社の製品が、あのシリコンバレーを代表する企業に大量に納品されているわけです。
実はこれにはストーリーがあります。
マルニ木工という会社は、1928年創業で、家具をより安く手に入れるために、従来の「正解」を求めたような製品をつくっていました。当時はバブルの絶頂期で、売上も高く、「アジアナンバー1の家具屋になる」というミッションまで掲げていました。
しかしバブル崩壊後、一気に業績は下がり、経営難に陥ったわけです。
そして、当時社長であった山中社長は、ふと自社のパンフレットに、パラパラと目を通していました。すると、あることに気がつきます。
それは、「自分の欲しいと思う製品がひとつもない」ということでした。
これまでは、正解を追い求め、安くで良い家具が「売れる」と思い込んでいました。しかし「売れる」ことにフォーカスしすぎたせいで、自分の本来「作りたかったもの」が、ひとつもなかったわけです。
そこで、社長は
「安くしても売れないのなら、本気で自分が欲しいと思う椅子で勝負したい」
と、大きくシフトチェンジすることにしたんです。
結果、本当に自分が欲しいと思えるものを作ったおかげで、あの世界トップを牽引するアップルに選ばれたわけです。
しかも、アップルといえば「デザイン性」で非常に評価を得ている会社ですから、そんな会社に選ばれた椅子を、世界中が見逃すわけありませんよね?
たとえ日本の地方の会社だとしても、こういったことが起こるのが現代です。
あなたの作りたいものは何ですか?
ここで、今一度、あなたに質問があります。
今、あなたの会社で販売している商品やサービスは、あなた自身が「本気で欲しい!」と心から思えるものでしょうか。
なんとなく売れそうな商品や、人が買ってくれそうな商品を作ってはいませんか?
違います。逆です。
あなたが本気で欲しいものを作るから、あなたと同じ価値観の人が、それを欲しがるんです。
人の心を動かすような、ワクワクだったり、ドキドキだったり、情熱やストーリー。それって、あなたの内側からしか生まれてこないものです。そこに対して真剣に向き合ったときこそ、本当に素晴らしい製品が生まれるんだろうなと、私は思います。
なんども言うように、万人うけするような製品は、もう世の中に溢れているんですから。
そろそろ、あなたのわがままをすべて盛り込んだ、あなたが欲しいと本気で思える商品をつくってみてください。
きっと、その本気の思いが、誰かを救うことになると思いますよ?
それでは、今回はこのへんで!
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