町田ゼルビアを「買収」ってネガティブなのだろうか?

スタジアムビジネス

 

※この記事は2018年9月に書かれた記事ですが、スポーツビジネスという考え方において、大切な考え方の一つだと思っているので、こうしてリライトした上で記事を残しています。

 

from 宮城哲郎

 

このブログを書いている今、IT大手の「サイバーエージェント社」が、サッカーJリーグの町田ゼルビアを買収したとの発表があった。

 

本当は、別の内容の事を記事にしようと思ったのだけど、記事やSNSを見てみると、思った以上に「ネガティブな反応」が多かったことに驚いた事を踏まえて。

 

一応、「スポーツクラブビジネス」の専門家として仕事もしているので、そのあたりの見解を残しておきたいという想いから、今回、時事ネタを取り上げるつもりで記事にしたいと思う。

 

なぜ、ネガティブ意見が多いのか?

 

まぁ、実際には関係者ではないので、本当にネガティブ意見が多いかは分からない。そのため、あくまでもネット上での意見に対しての考えになるのだが、正直、この件に関して言えば共感というよりも、理解はできるという感じだ。

 

なぜなら、以前、サイバーエージェントは同じJリーグに所属する「東京ヴェルディ」の経営権を持っていた過去があったのだが(株式も取得している)2年で撤退しているからだ。

 

きっと、その辺りの記憶が影響しているのだろうか、要するに「ちゃんと面倒みるのか??」というのがファンの言い分なのだろう。

 

他にも「買収」という言葉自体にネガティブな要素を感じる人も多く、要するに、理屈以上に感情的な部分での影響が大きいのだ。

 

でも、これはスポーツ「ビジネス」という分野、特に「クラブビジネス」という分野で考えれば、実はポジティブな要因も多い。

 

「買収」は企業にとって成長戦略の一つ。

 

そもそもサイバーエージェントクラスの企業となると、企業の成長戦略の柱に「買収」という行為が必ずある。

 

今回のゼルビアの買収の件も、当然ながら、買収する事で企業の拡大を図りたいという戦略的な意図があると思う。

※具体的な戦略的な意図については、これから色々とわかって来ると思うので、まだ確信がないままに記事にするのは控えたいと思う。

 

買収という言葉を聞くと「乗っ取り」だとか、買収された会社の経営者が「無能」だというイメージがある人もいるのだが、決してそんな要因だけではない。

 

なぜなら、その会社が買収されるという事は、必然的に「欲しいと願う会社の存在」があったからで…。

 

ビジネス的な視点で考えると、町田というチームに対して「価値」を感じたから購入している事になるわけだからだ。

 

僕自身も、小さいながらも複数の会社を経営している現役の経営者なので、会社の「終わり方」というのは常に頭の中に入れて事業をやっているが。

 

会社という存在は、そもそも「いつか倒産する」か「いつか誰かに売る」かの2つの選択しかない。

 

「いやいや、100年創業の会社だってあるでしょう?」という人もいるが、これは代々、事業継承者がいるからそうなっているわけで、150年、200年と時間がったときに果たして残っているかは誰にも分からない。

 

人の寿命と同じで、法人(会社)にも寿命があるというのがビジネス的な視点では常識というわけだ。

 

となると「倒産」というのが、人間で例えると「死」であるのであれば、「買収」というのは事業そのものが「生き続ける」という見方をされるわけなので。

 

そういう意味では、逆に「サイバーが欲しいと思わせた町田ゼルビア」という認識の方が僕は強いわけだ。

 

なぜなら、親会社が変わっても「事業」自体は生き続けるわけで、サッカークラブの事業とは当然、「町田ゼルビアというチーム」であるからだ。

 

100年以上も続く海外のサッカークラブも、その時々で「大株主」が変わっていた。それは、大富豪かも知れないし、その時々の世界的な企業かも知れない。

 

でも、そうしたオーナーの変化があったとしても「チーム」という存在は、長く残っている。そして、その大きな要因は、人ゆえに、そのチームを応援してきた「ファン」の存在があったからだろう。

 

応援してくれる人達がいる限りチームは無くならない。

 

会社が変わるという意味では、もしかしたら感情的な部分もあるかも知れないが、それでも、新たなステージに向かうまでの「変化」だと考えられるのだから、今後の町田の成長を期待したいものだ。

 

 

でも、フロントは頑張らないとね?

 

さて、買収されて一番に身を引き締めないといけないのは、紛れもなくチームのフロントだろう。

 

なぜなら、チームという事業を担当する存在が無能なら事業は続かないからだ。

 

一般の会社で考えればよくわかると思うのだが、事業自体は継承されても、その事業の成長を促進させれるのはお金を出すオーナーではなく、その「お金を預かるフロント (社員)」だからだ。

 

まぁ、この流れを受けるのであれば、サイバーからの出向でチームフロントに入る人材もいるだろうが。(※特に重役)

 

それでも、チーム(事業)自体の価値を高める為の能力、もっと具体的にいうと、それをお金に変える能力がスタッフ全員には求められるのは間違いない。

 

「俺はサッカーが好きだ!」とかだけを語るのではなく、「サッカーが好きで且つ、チームの事業の成長に貢献できる存在」これが、これからのクラブ経営で求めらる人材となるのは必須であり。

 

近年、多くの大手企業が、Jクラブの経営に携わっている事を踏まえても、これは露骨に出てくるというわけだ。

 

特に「俺はプロクラブのスタッフだ!」なんて、いばり散らしている人なんてのは、すぐに消えるだろう。(特に下部組織の指導者に多いよね?こんなヤツ。笑)

 

フロントが扱っているのは、チームという商品であり、選手という商品だ。その価値をいかにして最大限に高められるか?ここがこれからのクラブ経営には必須の能力だろう。

 

このスポビジ大学でも、常々言っている言葉でもある「スポーツビジネスで成功したければマーケティングを学ぶべき」という事の意味は、そういう観点からきているわけなのだ。

 

今までは、サッカーの実績があったから。。。とか。

スポーツ系の大学や専門学校で学んだから。。。とか。

 

そうした事が要因で、その仕事に就けたのかも知れないが、これからは違う。フロントの仕事とはその「スポーツクラブの経営」なのだ。

 

地域の補助金や助成金、企業のスポンサー料を食いつぶしているようではいけない。そのようなお金を何倍もの「価値」や「金銭的な対価」に変えていける人材が必要になってくるわけだ。

 

なぜ、スポーツビジネスの分野に「異業種」が参戦するのか?それは、もちろんスポーツという産業に価値を感じていることに他ならないかも知れない。

 

でも、もしかしたら「易々と参入させてしまっている」という業界の弱さもあるかもしれない事は、頭の片隅に入れておく必要があるだろう。

 

とにもかくにも、こうして日本でも有数の大企業に事業(チーム)を託すところまで来たんだから、全てをネガティブに捉えるのはもったいない。

 

いよいよ日本のサッカービジネスも、そうしたステージに到達したのだとポジティブに捉えて見守っていこうではないか。

 

それでは…

 

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