自前施設vs公共施設

スポーツマーケティング

From:宮城奈津子

 

このスポビジ大学のブログを読んでいる方は、主にスポーツを仕事にされている方が多いかと思います。

そこで、よくある質問が「公共施設を利用して事業をするべきか、自前の施設を構えるべきか」という質問です。

 

これはまさに「家は賃貸がいいか持ち家がいいか」論争とまったく同じだと思うのですが、これに関する答えは「人(会社)によって違う」としか言いようがありません。

 

ですが、今から起業するのであれば、公共施設から始めることを強くお勧めします。

実際、スポビジ大学のお客さんでも、起業時に「自前の施設・店舗が欲しい!」という方も非常に多くいらっしゃいますが、宮城はその相談に対して「今はやめとけ・・・」と話すことが多い様に感じますし、私もそう思います。

とはいえ、自前の施設があることで得られるメリットがあることも承知です。

 

じゃあ一体どっちにしたらいいの?!と悩んでいる方のために、今回は自前の施設のメリットとデメリットについてちょっとお話ししようかなと思います。

 

今、どっちにしようか迷われている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

 

自前の施設のメリットとは?

 

まずはみんなの憧れ「自前の施設」を持つこと。

例えば…

  • パーソナルトレーナーなら、自前のトレーニングジム
  • ヨガインストラクターなら、自前のスタジオ
  • サッカークラブなら、自前のフィールド
  • バレーやバスケなら、自前の体育館

 

これらは、スポーツ経営者であれば誰もが憧れますし、同じ様なビジネスをしている人にとっては「成功の象徴」とも見られるでしょう。

自前の施設を持つことのメリットは、以下の通りです。

 

  1. 自分たちで自由に使える
  2. 独自イベントや企画がしやすい
  3. 単純にカッコいい
  4. 会場使用料を払わないで済む
  5. 会員さんのロイヤリティが高くなる

 

こんな感じです。一つずつ解説しますね。

 

メリット1.自分たちで自由に使える

自前の施設を持つことの一番のメリットはやはり、「自分たちだけで自由に施設が使える」ことでしょう。

公共の施設だと、他団体との兼ね合いがあるため、好きな時間に何時間でも使える!ということはできません。「公共」という名前がついているので、ここはみんなで平等に使いましょうね、がそもそものルールですからね。

例えば、同じ曜日と同じ時間に借りたい人がいた場合、抽選になったりして、定期的な教室の開校が難しくなります。

特に、都市部ではそうです。人口が多いため、同じ様なビジネスをする人(もしくは趣味でやる人や学校の課外活動など)とかぶってしまうわけです。

だからこそ、自前の施設を持っていれば、自分たちだけで自由に使えることは、最大のメリットだと思います。

 

メリット2.独自イベントや企画がしやすい

これも、メリット1と同じようなことですが、自由に施設が使える分、独自のイベントや企画がしやすいんですよね。

例えば来月大会をやろう!と思っても、すぐに開催できます。年間での計画も立てやすいですよね。

しかし、公共施設の場合は、土日は地域の保育園や学校行事、地域のお祭りやスポーツ大会などで、利用するだけでもかなり難しいわけです。

これも自前の施設ならではのメリットだと言えるでしょう。

 

メリット3.単純にカッコいい

これ、結構心理的なものなのですが、マイスタジオ・マイグラウンド・マイクラブハウスを持っているというステータスになります。

小さなスポーツ教室やスポーツクラブは、ほとんどが公共施設を有効活用しています。そんな中、自前の施設を持っているということは、それだけの資金を投じるわけですから、なかなか真似できません。

「あのクラブ、自前の施設持ってるよね。いいなぁ」

と周りから一目置かれます。

多くの人は表では言いませんが、結構本音の部分ではこのステータスが欲しいという人はたくさんいると思います。だってかっこいいじゃん。←

 

メリット4.会場使用料を払わずに済む

自前の施設を持っていれば、会場使用料を払わずに済みます。これは、賃貸VS持ち家論争でも一緒ですが、賃貸は家賃をずっと支払わなければいけませんが、持ち家は自分の資産なので、家賃はかかりません。

施設もまったく同じで、自分たちの施設ですから、会場使用料(家賃)は一切かかりません。逆をいえば、空いている時間を誰かに貸したりすることもできるので、事業費として会場収入が入ってくるわけです。

当然、施設を建てる際の借り入れ返済はあると思いますが、自社の資産を構築するための資金ですのでね。他社に払う必要がないだけで、かなり経費削減に繋がります。

 

メリット5.会員さんのロイヤリティが高まる

自前の施設を持っているということは、そこにはコミュニティができるわけです。なぜなら会員限定の施設ですからね。

この施設は自分たちだけが使える特別なもの、という意識があるので、当然特別感がありますし、ロイヤリティが高まるので、当然継続率も高くなるでしょう。

中には自前のスタジオにお風呂がついていたり、サウナがあったり、飲食ができるラウンジを設置しているスタジオもあります。会員限定というロイヤリティがあるため、価格も高単価で売れる可能性があります。

そうすると、公共施設よりも利益率の高いビジネスモデルがつくれるので、ここも自前の施設の強みとなりますね。

 

以上5つが自前施設のメリットです。

 

自前施設のデメリットとは?

 

では次に自前施設のデメリットは、以下の通りです。

  1. 初期投資が大きい
  2. 施設管理に維持費がかかる
  3. 利益率が低くなりがち
  4. 拡大しにくい
  5. 撤退がしにくい

 

一つずつ解説しますね。

デメリット1.初期投資が大きい

まず、自前施設の最大のデメリットは「初期投資が大きい」ことです。もしもあなたが、サッカーグラウンドを作ろうと思ったら最低でも2,000万〜3,000万はかかります。体育館を作ろうと思ったら何億とかかります。

その他にも、それだけ空いている土地を探すのも大変ですし、地域住民の了承を得ることも大変です。

それがうまくいけばいいのですが、もし実際に建てた後に事業がうまくいかなかったら・・・?

考えるだけでもゾっとしますよね。笑

ただ、全て自分でやるのは流石に大変なので、行政を巻き込んでやったり、補助金をもらってやろうとする人も多いかと思いますが、個人的にはおすすめできません。なぜなら自前施設の最大のメリットである「自由度」が半減するからです。

行政が少しでも関わると、やはり税金で賄う部分がでてくるわけですから、何かしらの制限がでてきます。これをやるくらいなら、公共施設を貸してもらったほうがいいというのが私個人の意見です。

 

デメリット2.施設管理に維持費がかかる

これも自前の施設のデメリットとも言えますが、施設を持つと管理に維持費がかかってきます。

まず、受付係に1人〜3人は雇う必要があります。それだけで年間300万〜800万程度は最低でも必要ですよね。もし古い建物を購入した場合には、修繕費もかかってきますし、定期的なメンテナンスや掃除も必要になります。トレーニングマシーンは時代によって変化しますし、ずっと古いものを使い続けるわけにもいきません。

グラウンドが芝であれば、毎日の水やりや芝刈りも行わなくてはいけません。

 

当然、そこにも人件費はかかりますよね。流石にルンバに任せるわけにはいきませんから。笑

その他にも固定資産税や、借り入れの返済は何十年も続きます。ただ維持するだけ(収益を生む生まないにかかわらず)で、すでに1,000万円以上はかかる計算になります。

事業をスタートさせるまえに、これだけのランニングコストがかかることを(当たり前ですが)計算してみたほうが絶対にいいですよ。

 

デメリット3.利益率が低くなりがち

あなたが今公共施設で教室を行っていて、自前の施設に写った場合、必ず「値上げ」をしなくてはいけなくなります。

なぜならば、先ほど言った通り、自前の施設には「維持費」がかかってくるため、これまでの会費だと採算がとれなくなってきます。

公共施設では、会場使用料だけ払えばよかったので、会費が安くても利益を得ることができましたが、自前の施設では維持管理費の分の料金も取らなくてはいけなくなるため、当然会費は値上げせざるを得ません。

ですが、スポーツサービスの相場を、お客さんはほとんど想定できるため、極端に高額の場合は、別の安い教室に流れてしまう可能性もあります。

なので、自前の施設では自ずと「高単価サービス」を設計しないと、利益率が低くなってしまうわけですね。

高単価サービスであれば、それなりの質は保証しなくてはいけません。当然、そこで勝負できるスキルや経験、実績がある人はいいかと思いますが、まだ経験が浅い場合には、少し苦労するかもしれませんね。

 

デメリット4.拡大しにくい

自前の施設を持ってしまうと、次の店舗を出すことが非常にハードルが高くなります。

これまでは、社長ひとりのマンパワーでできたことを、他の店舗にも同じ様にするためには、社長と同じくらいのスキルを持っている人でないとなかなか任せられません。

また、当然ですが維持費は2倍になります。初期投資も同じ様にかかるので、2店舗目、3店舗目などの拡大がしにくいというデメリットがあります。

もちろん、個人事業レベルでやるのであれば、拡大するつもりがないという人がほとんどだと思うのですが、自己資本がある程度ない限り、拡大は難しいと思っていた方がいいかと思います。

 

デメリット5.撤退が難しい

自前の施設を一度構えてしまうと、撤退が難しいです。多くの場合、借り入れを行って自前の施設を作るわけですから、その借り入れがある状態で、事業がうまくいかなかった場合は、もう施設を売りに出す他ありません。

すぐに買い手が見つかればいいのですが、大きな額ですので、すぐに買い手は見つからないでしょう。とはいえ、借り入れの返済は押し寄せてくるわけですから、施設の売値をどんどん下げるしかありません。

そうなると、もはやなんのために施設を作ったのか、わからなくなりますよね。

特に起業時はうまくいくかどうか、本当にわからない状態ですので、すぐに撤退できないのは非常にリスクと言えます。ここは本当に真剣に考えるべき部分ですね。

 

賃貸店舗ならアリ!ただし・・・

起業前というのは、どうしてもメリットの部分にフォーカスしてしまいます。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで、施設を建てたらなんでもうまくいく!って気分になるんですよね。(ふしぎ。)

でも、実際にデメリットの部分を見て、しっかりとキャッシュフローをシュミレーションすると、かなりの額を稼がなくてはいけないことに気がつくはずです。それを自己資金なしでやろうとするなんて、もう本当に怖いこと。

 

とはいえ、賃貸で店舗を借りて行う人もいるかと思います。当然自前よりリスクは低くなりますが、その場合は、大家さんと直接交渉できるような賃貸物件がいいでしょう。

 

賃貸店舗のトラブルで多いのが、仲介している不動産会社が突然、「オーナーさんが、財産分与のために、物件を売却するそうです。来月までに退去をお願いします」と突然言われるパターン。

オーナーさんとコミュニケーションを日々とっている関係であれば、あまりそういったことは起こらないのですが(もしくは前もって相談があるのですが)、仲介不動産の場合は、オーナーさんと入居者間で関係性がないため、急な意向を伝えてくる場合があります。

せっかく事業がうまくいっていても、ある日突然、急な退去を迫られることだってあるわけです。

なので、賃貸で店舗を構える場合は、まず大家さんとコミュニケーションを取れるかどうかチェックしましょう。ただし、店舗を構えるということは、自前にしろ賃貸にしろ、維持管理費はかかります。ここをしっかりと計算できれば、賃貸でも施設を持つことはいいかと思います。

 

起業前なら公共施設一択!

ただ、やはり私が1番勧めたいのは「公共施設の有効活用」です。特に起業前は公共施設一択だと思っています。

なぜなら、施設使用料は安いですし、定期的に借りれない場合は近隣の公園や空きスペースを貸してくれる場合もあります。うまくいかない場合、事業撤退もサッとできます。そして次の事業を試すことだってできます。

そういった工夫をして、「ソフト」の価値を高めていくことが、起業時の鉄則です。ソフトの価値があれば、ハードは後からでも必ず作ることができます。ハードありきのソフトはないですからね。(ゲームでもそうでしょう?)

なので、もしもあなたが起業前なら、まずはソフトの価値を高めることに集中して、公共施設をうまく活用しながら事業を大きくしていくことがお勧めです。

 

どちらにせよ「集客力」は必須

 

ということで、今回は自前の施設を持つべきかどうかについて、メリット・デメリットの部分から考察してみました。

もし、上記のことを踏まえたうえで、キャッシュフローも計算できるのであれば、自前の施設をつくってもきっとうまくいくことでしょう。

 

ただ、自前にしろ、賃貸にしろ、公共にしろ、あなた自身がその施設に呼び込む「集客力」は必須です。そのためには、やはりお客さんを集める経験を積んで、それを自動化させなくてはいけません。

あなたに集客力があれば、維持費の高い自前の施設だとしても、きっと利益を残せるビジネスを作れるだろうし、あなたが本当にやりたいことに繋がることだと思います。

 

なので、ぜひ今後とも「スポーツサービスにおけるお客さん集めの方法」について、引き続き学んで欲しいなと思います。(つまりはスポビジ大学のブログとメルマガをめっちゃ読んでねってこと!w)

 

何かの参考になれば幸いです!^^

 

それでは、今回はこのへんで!