【インタビュー】スポーツの持つ価値と地域とのマッチング

クライアントインタビュー

 

宮城(哲):こんにちは。今回はPlusNine株式会社株式会社、代表取締役の宮城亮さんにお越しいただいてます。

亮さん、こんにちは。

 

宮城(亮):こんにちは。

 

宮城(哲):久しぶりの登場ということで。

 

宮城(亮):そうすね。

 

宮城(哲):ご存知の方も多いと思うんですけど、スポビジ大学の執筆者でもあり、自身も経営者として、そしてスポーツコンサルタントとして多岐に活動されているわけですが。

 

今回のテーマはですね。スポーツ界にマーケティングが出来る人が少ないという事で、実際プロスポーツからアマチュアスポーツ、地域スポーツと数々の現場でビジネスのお手伝いをしてきた亮さんに、その現状と、そうした背景から起こる問題や課題などを聞きながら、今後どういう感じで取り組んでいけばもっと良くなるかという事について、お話を聞きたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 

宮城(亮):はい。よろしくお願いします。

 

宮城(哲):ではですね。亮さん。

 

宮城(亮):はい。

 

宮城(哲):早速なんですけど・・・。今、いったい何をされてるんですか?笑

 

宮城(亮):笑。今はですね。スポーツで地方創生ということで。宮崎県都農町という町にいます。

 

宮城(哲):地方創生?

 

宮城(亮):はい。まぁ、簡単に言うと、小さい町(地方)でスポーツを通して人集めをしたり、企業を呼んだりして、街全体を盛り上げましょうということをやってます。

 

宮城(哲):なるほど。今、亮さんのいる都農町という地域には、何か有名なものとかありますか?

 

宮城(亮):最近では、ふるさと納税で全国で2位になったという事で、主に畜産が有名ですね。その中でも宮崎牛とか有名ですかね。皆さんの記憶にもまだ新しいかと思うのですが、2010年に「口蹄疫」という問題も起こったんです。

 

宮城(哲):あぁ、あの口蹄疫問題ですね?

 

宮城(亮):はい。そういう困難もあったのですが、町の皆さんのご尽力もあり、その後は畜産王国として宮崎牛の内閣総理大臣賞で日本一になったり、山の方にワイナリーも出来て。

 

宮城(哲):はいはい。僕も伺ったことがあります。

 

宮城(亮):果物がいっぱい取れるので、ワイナリーとか果物とか、そういうのが有名ですね。

 

宮城(哲):なるほど。ここまで聞いていると、一見全くスポーツとは関係なさそうなんですが。なぜ亮さんに白羽の矢が立ったんですかね?スポーツ界の方なのに…。

 

宮城(亮):そうですね、今回のケースの場合では、自分達の良い物を持っていることは持ってるんだけども、表現する方法というか、たくさんの人達に対してどうゆう風にそれに気付いてもらおうか?っていうのが出来ない悩みがあったようでして。

 

その中でうちの町では、「スポーツを通じてそれを実現したいよね?」となって色々僕の経験とか、やってきたことの中で「お願いしてみよう」ということで呼ばれたという感じですかね。

 

宮城(哲):そうなんですね?それは確かに適任かも。実際に、何か具体的にこのスポーツという手段を使って、こういう方法をとって、うまくいったよっていう事例みたいなのってあったりするんですか?

 

宮城(亮):今、宮崎でですか?

 

宮城(哲):でもいいです。

 

宮城(亮):はい。やっぱり、今ちょうど蹴1グランプリ(PK大会)っていうのがやってまして、それが僕が来る前から一応大会としてやってて、先程口蹄疫の話をしましたが、今でこそ乗り越えたとは言えやはり相当この口蹄疫の問題では疲弊したそうでして。

 

そこで、町の人達に少しでも元気になってもらおうという思いから、サッカーでもしながら盛り上げようということでPK大会をやってるという感じなんですけど、それに少しちょっとテコ入れなんかもしながら今、10000人の町に約1600名ぐらいの人が町外、県外からも含めて来るようになってきているというようなのが事例の一つとしてありますね。

 

宮城(哲):最近の大会の様子を拝見させていただいたんですけど、有名な芸能人とか本当に誰でも知っているようなサッカー解説者、名前出していいか分かんないんで名前は出しませんが、そうした方々も招きならがらイベント的にも全国区になってきてるなという感じなんですけど、やっぱりスポーツというものを活用した時の効果って大きいですか?

 

宮城(亮):そうですね。やっぱり、スポーツだと誰にでも一つや二つぐらいはヒットする事があると思うんですよ。例えば男性っていってくくれるし、女性とか高齢者でもあると思うんですけど、それだったら大きすぎるかも知れませんが、その中でも僕らの場合はPKという括りとか、サッカーとかスポーツっていうよりも、もう少しちょっと小さいくくりでやってたりします。

 

サッカーなんかでいうとちょっと男性的だったりとかするじゃないですか。まあ、最近女性も多いですが年齢も30代とか40代とかっていうのが少し、絞れてくるので、そういった意味で、そういう狙った人たちに対してメッセージが出しやすいということで、あえて何かに絞ってやってますけどね。

 

特に松木安太郎さんなんかを起用するというのも、まぁ、別に名前出して大丈夫なんで、北澤豪さんなんかもそうですけど、そういった層が、「お~なんか宮崎にこういう人来てるよね?」となるわけです。

 

一番最初に北澤さんに来て頂いた理由なんかは、北澤さんは障害者サッカー連盟の理事長なので、そういう福祉とか障害者に対してのことも考えている町というPRにも繋がるのではないか?というような、双方に対してウィンウィンにならないかという事を考えました。

 

松木さんに関しても、今度開催する大会も含めて2回目なんですけど、今ふるさと納税を町にどんどんPRしようという動きがある中で、松木さんが実際、別のテレビ番組で食レポをしに都農に来る、そして、その番組の中で松木さんという存在にヒットする人たちが松木さんの食レポを通じて、「あ、松木さんが番組で言ってた町だ。ワインだ。お肉だ。」というので拡散されるわけですよね。

このように町に来ていただいた方に対して、ヒットする人たちに向けてもどんどんPRするということでやってますね。

 

宮城(哲):スポーツっていう大会…今回でいうPKの大会にサッカーに関わる著名人が来ていただいて、その著名人に関わる人達が、またそれでヒットしてどんどん波及していく感じですね?なるほど。こういう感じでスポーツという、普通に大会しようと思ったら、競技だけを開催して終わる部分に対して、色んな効果をつけてやられるとわけなんですね。

 

そういうことを亮さん自身、結構全国的にこれまでやってきたと思うんですが、どうですか?全国的に、特に地方を元気にしましょうというものは、スポーツ界に限らず色んな業界であると思うんですけど、まだまだスポーツを使ってやっている事例ってありますか?

 

宮城(亮):そうですね、例えばJリーグなんかも、ホームタウンだとかも、言ってたりしますけど真剣にやっているか?と言えばまだまだ未知数な部分も多い。僕も実際にJリーグクラブにいたんで分かりますけど、J2の小さな毎年赤字になりますみたいなクラブであったとしても、きちんと地元に対して一生懸命やっていたら、3年連続で地域活動という部分でJ1も含めて日本一になれちゃうくらいですから。他のクラブもやってないと言わざるを得ないでしょう。

 

でも、当時の社長が言っていた事がすごく印象に残っているのですが、常々言っていたのが「県のクラブである意義を考え続けること」という言葉です。それが、クラブにおいて大切な事であることだという風にやってたんですけど、そいうことをどれだけ深く考えているのかということですね。実際に少ないんですよね。

 

スポンサーからいくらもらうか、Jリーグ1位になるか、勝ち負けとかね、そういう事が中心になってしまう。それはもちろん大事なんだけど、1位になったら地域がどうなるかっていう事を考えて1位にしなきゃいけないんという事なんですよね。

 

その時にはこういうパレードがあってとか、こういう選手が行ったらこういうグッズが売れて、町にこれだけお金が下りてきてという事を考えたうえで1位になるべきなのか。今は二部で少し充電すべきなのかということなど、戦略を考えずに何となく町にサッカー選手がいて、「地域のためだからお金ください」って言うだけだと、「結局なんかあいつら出ては来るけどお金くれ、お金くれとしか言ってこないよね?」という風に見られてしまう。そう思われないように、どうやって地域に還元するのか?そこを追求しないといけないのかなと思います。

 

宮城(哲):なるほど。となるとやっぱり今の話でいうと、スポーツだと勝敗という分野の話がされる中でそれとは別の部分での戦略というか、勝ち負けだけでなく、要は価値、バリューの方だと思うんですけど、それをどうやってアプローチして生み出していくかというところで、まだまだ足りてないっていう。

 

宮城(亮):そうですね。はい。

 

宮城(哲):そういう観点から考えるとスポーツをどう売っていくかとか、売るっていうかスポーツというものに対して、どのように色んな人に「欲しい」と思っていただくかとか、巻き込むかというところで課題になると思うんですけど、この辺の視点はまだまだ足りてないのですか?

 

宮城(亮):そうですね。サッカーの場合は特にそうですけど「ヨーロッパや南米ではこうだ!」とか、「アメリカだとこうだ!」とか言いがちなんですね。もちろんそういう事例の中にも、本当に良い事例もいっぱいあるんですけど、外のことばかりをイメージすると自分達の事がよく分からなくなると思うんです。

 

単純に、甲子園なんかは良い事例ですよね。別に1回戦で負けようが何しようが、自分たちの子供が頑張っているから応援するっていう熱い情熱があるじゃないですか?自分たちの地域の子供だよねっていう風にね。僕はそれも価値だと思うんですけど、そういうような目でまだまだ、プロクラブがそこまでなってないというのが感じますよね。

 

宮城(哲):なるほど。今先ほどお話したチームの話ですが、チーム自体の成績は振るわないんだけど、地域貢献という側面においてはJリーグの中でトップだった時期が3年間あったと。でもたくさんの人を巻き込んだという事実はあるわけですよね。

 

その巻き込んだ要因というのは、変な話、勝てないのにも関わらず、巻き込めたというのはある種、すごい価値じゃないですか。すごいバリューだと思うんです。そういうアプローチの仕方、たぶんこの雑誌を読んでいる読者にも役立つと思うんですけど。その辺り、どうですか?

 

宮城(亮) まぁ、一番はやっぱり僕がクラブに入りたての時期の話ですが、1年目はとりあえず挨拶周りから行かないといけないよねという、基本的なことからスタートしたと思います。

 

例えば、引っ越ししてきたらお隣さんにご挨拶に行きますよね。これって普通だと思うんですけど、急に引っ越してきた初日にこいつがバーベキューして煙もくもくやったら「おい、お前なんだよ」って普通なりますよね。うちの洗濯物が臭くなるとか言われるじゃないですか。でも、そういう場合に一言、「僕バーベキューが好きなんですが、良かったら一緒にしませんか?」っていう話があればもしかしたら「そうだね、じゃ一緒に」ってなると思うんですけど、当時、僕が在籍した時は、そんな地域との関わりはなかった。

 

だから、スタジアムで試合やっても、地域の方からすれば「うるさい」と苦情になるんですよね。ワーワー人が来て、渋滞するから、迷惑的な感じになっちゃうので、その前に、地域の方々に対して、一番最初にまずご挨拶周りと、ホームゲームの際はご迷惑をおかけしますというところからちゃんとご挨拶していく。するとそのあとに「あいつらちゃんと来てくれたよね。」となるわけです。

 

すると、そこで初めて試合に良かったら来ませんか?っていうのが、その次にあると思うんです。僕らはそういうことをひたすらにやっていたから、結果1番地域をまわってたという事が、結果に繋がったのかなと思うんですけど。

 

哲郎さんも、最初にクラブ立ち上げた時に、勢いでその地域の役所や公共機関に、とにかく挨拶に行ってたじゃないですか?「この地域をスポーツで元気にしたいです。宜しくお願いします」って、それと同じですよ。笑

 

宮城(哲):確かに、結局は信頼関係ですからね。地域とか顧客との。ちなみに、これマーケティングだと思うんですけど、お客さんとの信頼関係構築をやれということですね。

 

宮城(亮):そうですよね。よく哲郎さんのメルマガとかでも出てくる話で、いきなり「結婚しましょう!」って言うような売り方はするなという話がまさにそれで。今まで「俺たちサッカーチーム作りました。優勝したいです。チケット買って下さい」っていうのを急にやっているわけですよね。

 

それを興味のない人が突然言われても「いやいやそもそも興味ないし」ってなるわけですよね。それが、「いやいやあいつらは、何にも言わないけど、うちの子にサッカー教えてくれたよ?」とか、

「うちのおばあちゃんが、選手たちに健康教室を教えてもらったんだ」とか。それで選手と仲良くなったばあちゃんが、可愛い新しい孫が出来て一緒になって喜んだみたいな話をしたとか。そういう事をクラブ側が積み重ねるわけです。

 

そうした関係構築の積み重ねがあるからこそ、「ちょっとぐらいなら騒音我慢しよう」とか、「うちの同僚がチケット貰ったので行きません?」とか、「じゃあ、ちょっと行って見ようか。」っていう風になると思うのです。

 

そうした積み重なが一つずつ増えていく事で、「初めて買ってもらう。」っていう話になるのかなと思うので、そういったことをちゃんと丁寧にやる時間が必要なのかなっていう想いはあります。。

宮城(哲):要は信頼関係を構築する前に、「俺は俺は」という事は、たとえプロクラブだからとしても応援はされないよっていうことですよね。

 

宮城(亮):ほんとそうですよね。例えば、公共の施設がホームタウンのチームもあるわけですけど、自分たちがお世話になるとか、借りるとか。もちろん行政がホームタウンだから、会場を融通しようとかという事があってたとしても、そこを「本来あなた方がいなかったら借りれるであろう地域住民の権利を奪っている。」とか「市民の人たちの居場所を奪ってる。」「自分とこのグラウンドを借りるっていうところの手続きをする人の時間を奪っている」という事を考えたら、クラブ側もそれを踏まえた上で、ちゃんとした対応をしないといけないわけですよね。

 

宮城(哲):組織として全体の意見に感じちゃいますからね。これはね。

 

宮城(亮):ホームタウンという側面からよく言うんですけど、良いことというか奉仕的な活動のようにとらえる人が多いのも課題かなと思います。教室無料とかね。

 

僕の場合は、もう少しだけ、クラブが「稼ぐ」とかそういうこともしっかりと考えなくてはいけないと思っているので。

 

もちろんお金以外の側面の重要性は理解してはいます。でも、やっぱり会社ですから、「経営」もしていかなくてはいけないんです。結果的に、そうしたお金というのは「僕らがやってきた事に対する対価」なわけですから、相手がそれを感じてくれること、評価することで結果的に経営にもつながるはずなんです。

 

だから、ちゃんと自分たちがマネタイズしていってクラブを健全に経営するってことをやるためにも、まずはちゃんとした関係を作んなきゃだめですよねっていう話で。

 

しっかりと活動に対して対価として応援してもらえる、要するにお金を払ってでも見てくれるという行動に繋げないといけないわけです。

 

そういう意味では、哲郎さんの情報に対してプロクラブに関わる人が次々と集まってくるってことは、そうした「マネタイズ」の部分での必要性に駆られているという気はします。もう、これは現場単位で。

 

宮城(哲):そう考えたらスポーツっていうもので、まだ勝ち負けっていう概念が強いから、勝ちに近いプロスポーツというものが、ちょっとこう偉い、みたいな錯覚があるのかも知れないですね。

 

地域スポーツはそうでないみたいなところでのギャップ、お互いの認識でうまくいかないことってあるんだなって話を聞きながら思ったんですけど、現にそういうことを、スポーツというものを「人を繋ぐツール」だということで、掘り下げて地域に入っていきながら、逆にうまくいっているところも多いわけなのですが、そうした人たちって何がうまいのでしょうか?

 

宮城(亮):やっぱり一番は・・・

 

・・・・と、インタビューの途中ですが記事はここまで!

続きを読みたいというかたは、ぜひサンビリーフマガジンの定期購読をオススメします!マガジンだけにしか載っていない情報、コラボ企画が満載のマガジンが、毎月あなたの自宅や職場に届きます!

※亮さんのインタビュー記事の全文は、3月号のサンビリーフマガジンに掲載しております!

毎月980円の投資で成果実証済みのスポーツビジネスに役立つ情報を入手する。

サンビリーフマガジンの定期購読はこちら↓ ↓

サンビリーフマガジン定期購読ページを確認する