誰にも依存しないクラブ経営に欠かせないこと

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From:宮城亮

 

今話題の部活動地域移行問題に「地域おこし協力隊を活用せよ!」と言う号令がスポーツ庁内で出ている様だ。

 

学校部活動の地域移行は、教員の働き方改革もあり、かなり急ピッチで進めているが、基本的な運営は各都道府県に任されており、対応は様々である。

 

唯一共通しているのは「部活に使うお金がない!」と言う悲しい問題である。

 

スポーツ庁は、スポーツコミッションと同様に、総合型地域スポーツクラブを、地域の健康・教育・福祉・コミュニティの核と考えており、これらに地域おこし協力隊を活用したいと考えている様だ。

 

私が宮崎県で行なっている、ツノスポーツコミッションは、全国に先駆けて、サッカークラブごと移住をさせ、その選手達を地域おこし協力隊で地域課題に取り組ませていると言う事で、スポーツ庁さんも昨年から視察に来られていた。

 

今年2月のスポーツ庁主催のシンポジウムでも、我々の活動を全国にご紹介頂きました。

 

地域おこし協力隊をご存知ない人の為に簡単に解説すると、この地域おこし協力隊とは、総務省の予算で、東京一極集中を是正する為に、都市部からより小さな地域への移住・定住を目指したものである。

 

任期は、3年間と決まっており、1年で1人400万円の活動費があり、約半分は人件費、もう半分が活動費で、車やパソコンのリース、家賃補助などにも活用できる。

 

3年以降は完全に独立して稼いでいく必要がある(もちろんその土地に定住する事が望ましい。)ため、部活の地域移行にこの予算を活用したとしても、その後は自分達で稼いでいく必要がある。

 

つまり、3年間で知らない土地に渡り

  • 地域の部活の状況や課題を把握し
  • 部活動のクラブ事業化
  • クラブがない場合はクラブの立上げ
  • 指導者探しと選定
  • 活動場所の確保
  • 保護者への理解の呼びかけと負担のお願い
  • クラブの経営安定
  • 指導者への謝金の支払い
  • 自分自身の報酬の確保

というボリュームの仕事をしなければならないのである。

 

正直、今までスポーツをやっていました!とか、指導者資格を持っています!と言う状況の方では、3年でこれをやるのは、かなり難しいのではないかと思う。

もちろん無理だとは言わないが、それ以上にサポートが必要となるだろう。

 

この様に地域おこし協力隊として任命された人と協力し共に稼いでいかなければならないのが、総合型地域スポーツクラブであり、スポーツコミッションだ。

 

これら組織が、部活動の地域移行の架け橋となって活動して、そして3年間で会費を中心とした財源の中で運営ができる体制にしなければならない。

 

しかし正直かなり厳しいのが、これら団体でもある。

 

地域おこし協力隊という予算だけでうまくいくなら、スポーツ振興くじtotoで最長12年間助成金をもらっていたクラブが潰れていく訳がないからだ。

 

散々クラブの活動費も、クラブマネージャ―の人件費も助成を受けながらやって来たにも関わらず、助成金がなくなった瞬間に活動が続けられなくなるクラブがあまりにも多い。

 

残っているクラブも、幸運にも行政が気を使って、地域の施設の指定管理をお願いされたという程度でなんとか生き延びている事も多い。

 

是非もっと私のアドバイスを聞いて欲しいのだが、スポーツ指導者を地域おこし協力隊として雇用しては絶対にいけない。

 

彼らが無能だと言う訳ではない。

今必要なのは、マネジメント人材であり、彼らのマーケティング能力の向上である。

 

もし部活動の地域移行に、地域おこし協力隊を活用するなら、マネジメント人材を雇用する事、そして3年間で自分の分も含めて稼げるマーケティング能力を身につけさせてあげる事だ。

 

このマネジメント人材と言うことと、人材育成を同時に行うのであれば、地域おこし協力隊の活用もうまく行くかも知れない。

 

では、もう少し話を掘り下げて行きたいと思う。

なぜなら、マネジメント人材の育成やマーケティング能力の向上も、これまで各組織の中で既に行われて来たからである。

 

クラブマネージャ―の資格、アシスタントマネージャーの資格、これらを長い時間かけて取得した人材の多くが、クラブを潰していったからだ。

 

単純にこれら資格を取ったところで、クラブを経営していくのはかなり難しい事だ。クラブと言っても、要は会社経営である。

 

人材のマネジメントや事業のマネジメントだけでなんとかなるモノではない。キャッシュフローを途切れさせないための動き、資産を増やしていく動き、その他にもやるべき事は無数にある。

 

そんな中でも、一番最初に触れておきたいのが、「先立つモノ」についての話だ。

 

やはり先立つものがなければ、クラブ経営はかなり難しい。せっかく稼いだ会費も、人件費と活動費で消えていく。とくに総合型クラブやスポーツコミッションの多くが、非営利法人という形をとっており、資本金などもなく始める人も多い。

 

先立つものは、何もお金だけではない。資産に付加価値と労働を掛け合わせてクラブは大きくなるが、その資産が最初からないのである。

ラーメン屋でも、厨房機器などの資産に投資をして事業を始めるだろう。

 

この様に、クラブも掛け合わせると大きくなる資産が必要である。

 

つまり、クラブを設立するという事は、同時にクラブハウスという資産を持たなければならないという事である。

 

ここで、指定管理している施設がある人はどうすべきか?という質問もあるだろう。

 

ハッキリ言っておきます。指定管理に頼った経営は必ず破綻します。

そもそも指定管理というのは、行政が管理するより、民間で管理を行った方が、効率よくお金もかけずに同等もしくはそれ以上のクオリティの施設管理ができる事を期待されて始まりました。

 

と言う事は、契約を更新する度に、クオリティの向上や予算削減を求められます。求めてこなかったとしても、ライバルに名乗りでた団体が、それ以上の提案をしたら、あなた方クラブは、収入を一気に失うこととなります。

 

結局指定管理というのは、あくまでも業務の委託であって、委託する側に依存しないと活動ができなくなるという事なのです。

 

もちろん施設を予約して、引き続き使用する事はできるでしょう。

しかし、いつまで使用料支払って活動を続けるのですか?それなら、10~15年後に自分達の資産となる施設購入借入の返済を行った方が良いのではないでしょうか。

 

この様な事から、クラブは他者に依存しなくても活動できる場所と資産づくりが必要となります。

 

その資産作りの頭金を作る為に、人件費を浮かせる為にも、指定管理を受けたい!という事であればもちろん良い事だと思います。今から出も指定管理に手を上げられる人は、是非あげてみたら良いと思います。

 

しかし、今回の部活動地域移行へ使えるお金は、地域おこし協力隊のお金です。

この突然移住してきた人が、行政施設の指定管理にタイミングよく手を上げる事ができるのでしょうか?あげられたとしても、何のノウハウもない個人が受託するのはかなり厳しいと思います。

 

そこで今回私が挙げる具体例は、総合型クラブによる中学校施設の指定管理です。

そして総合型クラブが、この管理する人材を地域おこし協力隊の予算で、雇用したらどうかと思います。

 

もともと中学校区に1つの総合型クラブを作ることを目標としていた文科省。この中学校施設の管理をする団体として、総合型クラブを育成すれば良いのです。

 

実際、全国のほとんどの中学校は、未だにどこかに管理を委託している事はないでしょう。しかし、実は愛知県半田市の事例で、中学校の体育施設を総合型スポーツクラブが管理をするという条例を作っている事例があるのです。

 

学校の授業時間は、もちろん生徒達の為の学習に使われます。それ以外の放課後や週末をクラブが管理をしたらいいのです。

 

そうすると、地域住民がいやいや参加しているPTAの清掃活動なども、普段から管理者が業務を代行して、PTA会費から予算をもらって行えば良いでしょう。

 

これら指定管理料と、クラブの会費で資産作りを行うのです。

そうすると、生徒達も引き続き学校でスポーツを行う事ができるので、移動中におこるリスクの回避も行えると思いますし、引き続き指導をしたいという教員にとっても都合がよいでしょう。

 

もちろん、半永久的に中学校の指定管理ができたら良いのですが、この先生徒数が減っていくのはわかっている事です。統廃合の話も出てくるでしょう。

だからこそ、その後に備えた資産をつくって行く必要があるのです。廃校した学校をそのまま安く引き継ぐのも良いと思います。その時は、自らのお金を施設整備にお金をかえて、様々な事業を行えば良いと思います。

 

どうでしょうか?まだまだアイディアはありますが、実際にすでに行われている前例でも、この様な解決策はあります。

 

単純に指導者の報酬を、この地域おこし協力隊で賄うという事だけは辞めて欲しいと思います。

お金を与えるなら、資産作りもセットにした方が良いです。人口が増加傾向にあれば、資本主義や自由競争の原理からも、これら資産づくりになる動きは難しかったと思います

 

しかし、部活動の地域移行などの社会課題や、今後の市場の縮小が予想される場合、そこに自ら飛び込んでいくという人達には、この様な条件を揃えてあげないと、またtotoの時の様に不幸なクラブを作って行く事になりかねません。

 

あなたがもし、地域の部活動移行問題で意見を聞かれることがあるなら、この様な財源の確保とマネジメント人材については是非話をしてみてください。

 

 

そしてあなたのクラブが、この地域おこし協力隊の受け入れ先になって活動にトライしてみてください。

 

 

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