スポーツセールスライター
宮城奈津子
先日、あるスポーツクラブが集まる会議に参加した時のこと。
会議後に行われる情報交換会で、あるクラブの代表の方と話が弾み
私がこれまでやってきたこと、今実際に行っている仕事についてお話しをしていました。
すると、その代表の方は、深刻な顔をして、
「実は、結構時間もお金もかけてきた事業があるのですが・・。これがいつまでたっても集まらなくて大赤字なんです。」
とのこと。
作成したチラシをその場で拝見させていただいたのですが(業者につくってもらったようです)
デザインも悪くないし、綺麗に、簡潔にまとめられていました。
しかもその健康教室の値段はなんと月額1,500円。定員は20名。
それでも以前よりも値段を高くしたのだそう。
しかし、そのクラブの代表の方は、、、
やっぱり、値段が高すぎるんですかね?
あなたは、これを聞いてどう思いますか?
もちろん、内容や講師の実績などにもよるかと思いますが。
月額1,500円の教室なら、まず「安い」と思いますよね。
だって、1,500円で20名の定員ということは、月の売り上げは30,000円です。
講師に、最低でも1回5,000円の謝金をお渡しして、月に4回だとすると?
クラブに残るのは、なんとたったの1万円です。
年間で考えてみても、12万円の利益しか生み出さないということ。
しかも、それに広告費や印刷代、ポスティング代、などなどの経費をかけたら、まったく利益がない状態です。
それが10クラスくらいあるのであればいいかもしれませんが(良くはないか。笑)
今の時点で、5名も集まらない状態だといいます。
驚かれるかもしれませんが、これが今の日本の地域クラブで起こっている現状なんです。
別に、そのクラブが悪いとか、集客が下手だと言っているわけではなく。
まだまだ日本の地域クラブが、地域の方からお金を頂いて、スポーツのサービスを提供するということが、申し訳ないという風潮になっているんです。
それでも、クラブの活動を続けていくために、少しでも収益をあげようと努力をする。
しかし、どんなに集客を頑張っても、人が集まらない。人が集まらないから安くする。
でも、安くしすぎると利益がでないので、また値段を上げてみる。するとこなくなる。
これの繰り返し。負のループです。
でもね、実際私もこんな状態だったんです。
特に、高齢者の事業は本当に難しかったんですよね。思い出したくもありませんが。笑
80代の自治会長に怒鳴られた話
クラブ設立当初の話ですが。地域の公民館に行って、高齢者向けの健康教室の告知をするために、ポスターを持って一軒一軒回る営業をしていたんです。
そこで、私がその教室の「ポスター」を貼らしてもらえませんか?と聞いたところ。
「なんでこんな高い教室のポスターを貼るんだ!こんな高い教室に来るわけないだろ!」
そう言われ、追い出されてしまいました。
高いと言っても、月額4,000円です。お仕事を引退しても十分払える金額ですよね。
では、なぜその地区の自治会長さんは怒ったのでしょうか。
きっと、『うちの会員さんに、変なもの売り込むな!』と言いたかったのでしょう。
実際に、その自治会で行われている健康教室の値段は、一回100円です。無料のものもあります。
そう、私はターゲットを明らかに間違えていたのです。
自治会ではすでに、同じような健康教室がたくさん開催されています。
それは、市町村の委託で、指導者を派遣して行っている教室もありますし、役所では市が主催の無料健康教室だらけです。
それと同じような伝え方でやったとしても、そりゃ「高い」と言われますよね。
だって、当時の私は「国や市町村が提供するサービス」が同事業だと思っていたからです。
あなたも、100円で売っているカゴと、4,000円もするなんら性能もデザインも変わらないカゴなら、きっと100円のものを買いますよね?
極端に言えば、それと同じことをしていたんですね。それじゃ教室に人がくるはずありません。
あなたのサービスは誰に届けるといいのだろうか
さぁ、ここまでお話しして、もうお気づきですよね?
そう、問題は誰をターゲットとして、どんな手段で売り出すか、が、抽象的だから売れないんです。
以前、ペルソナについてお話ししたことがあるかと思いますが。
※ペルソナとは、架空の人物像で、あなたの商品やサービスを買ってくれそうな理想のお客様のことをいいます。
簡単に言えば
「こんなお客さんなら、うちの商品を買って喜んでくれるだろうな〜」って人。それをペルソナって言います。
それを、しっかり決めないことには、商品やサービスの価値が伝わりにくくなってしまうのです。
ちなみに、ペルソナを決める時に考える要素としては、、、
- 年齢
- 性別
- 家族構成
- 住まい
- 収入
- ライフスタイル
- 悩み事
- 趣味
- 健康
- 食事
- 服装
- 決定権
- 活用メディア
- 行動
このようなことを、こと細かく決める必要があるのです。
実際にペルソナを決めたことがない人はピンとこないかもしれませんが、ペルソナを決めてチラシを作ったことのある人は頷いていると思います。
例えば先ほどの自治会で私が掲示したポスターのターゲットはおそらく
- 自治会で健康教室をやっている高齢者
- できれば安価もしくは無料で気軽にやりたい
- 体がしんどいときは休みたい(休むのにリスクがないほうがいい)
- 講師にこだわりはない
上記のペルソナに対して、月額4,000円はやはり「高い!」と思われる可能性がたかいですよね。
あの当時は、私はどこに高齢者がいるのかがわからず、とりあえずじいちゃんたちがよく自治会で集まっているだろうという安易な考えからの告知でした。
そりゃー怒られますよね。こっちは市の委託で気の知れた講師の方が、無料で教室を開催してくれているのですから。
この事業自体は、健康推進事業なので、市町村の税金で行われている事業です。
確かに、それと同じではお金を取るのは申し訳ないと思っていまいますよね。
・・・だとしたらですよ。
思い切ってペルソナを変えちゃえばいいだけです。
例えば、月額4,000円の月謝を払ってもいいと思える人のペルソナとしては
- 最近、健康診断で医者に注意された
- 将来、認知症が怖い
- できれば食事のアドバイスをしてくれる人がいい
- 家ではゴロゴロしてしまって、家族に怒られる
- でもスポーツクラブのような派手なジムには通いたくない(恥ずかしい)
- 自治会のコミュニティーにははいりにくい
- でも友達はすごく多い
- 本当は美しくありたい
- ショッピングが大好き
- 若い頃は綺麗でおしゃれ好き
- 退職金と、年金だけで十分余裕のなる老後生活を送っている
- 孫と遊ぶのが趣味
こういったペルソナであれば、先ほどのペルソナよりは、響きそうですし、その要素をチラシに記載するだけで、「あ!私のことだ!」と思ったりしますよね?
そうすることで、メッセージを届けるメディアも変わってきます。
例えばポスターを貼るにしても、自治会には行かずに、地域のスーパーやレストランの方がいいかもしれませんし、老舗のコーヒーショップがいいかもしれません。
あとは高齢者であれば、インターネットでアップするよりも、定期的に新聞に広告を出していた方がいいかもしれませんね。
ペルソナを考えるだけで、その人がどこにいるのか、どんなメッセージなら響くのかが、だんだんと見えてくるんです。
地域スポーツには、圧倒的にそれが足りていません。
市町村の事業と、差別化をするような価値を伝えていかないと、いつまでたっても「無料教室」と争うことになってしまいます。
そのためには、まず本当にあなたのターゲットはそのままでいいのか。
今一度考え直してみる必要があるかもしれません。
ターゲットを見直すことで、あなたの商品やサービスに見合った価値を提供してくれる人が誰なのか、はっきりと見えてくることだと思いますし、
そうすることで、あなたの欲しい利益を確保することができるのです。
スポーツには、十分な価値があります。
なので、あなたも自分のクラブに自信を持って、どんどんその価値を伝えていって欲しいと思います。
それでは、今日はこのへんで!
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