1000枚のチラシより、一人の子どもが僕の人生を変えた。

宮城です。

もし今、29歳の僕に会えるなら、

たぶん何もアドバイスはしません。

その代わり、

こう言うと思います。

「大丈夫。その失敗が、君の人生を変えるから。」

29歳。

サッカー選手としての現役生活を終え、

僕は初めてサッカースクールを立ち上げました。

当時は、

「一応、プロサッカー選手。」

そんな肩書きがあれば、

子どもなんて自然に集まる。

本気でそう思っていました。

今思えば、

ずいぶん都合よく考えていました。

人生で初めて作ったチラシ。

夜になると、

自宅のプリンターを動かして印刷しました。

印刷会社に頼むお金がもったいなくて、

インク代を気にしながら、

1000枚ほど刷った記憶があります。

でも、その時の僕は、

インク代なんてどうでもよかった。

「これで人生が変わる。」

そう信じていました。

数日後、一本の電話が鳴りました。

知らない番号でした。

「申し込みだ。」

そう思って、

少し嬉しい気持ちで電話に出ました。

でも、電話の相手は、

スクールを開く予定だった施設の方でした。

「宮城さんですか?」
「あなたのチラシが施設の周りに散乱しています。」
「申し訳ないですが、拾いに来てもらえますか。」

その瞬間の気持ちは、今でも忘れません。

恥ずかしかった。

情けなかった。

穴があったら入りたかった。

人生が変わると思っていた1000枚のチラシを、

僕は一枚一枚、拾い集めました。

そして、申し込みは……

0人でした。

「もう辞めよう。」

「他の仕事を探そう。」

そんなことまで考えていました。

その時、近くの公園で、

セミ取りをしている親子が目に入りました。

本当に迷いました。

知らない子どもに声を掛けるなんて、

変な人だと思われるかもしれない。

断られるかもしれない。

でも、もう失うものなんて

ありませんでした。

勇気を振り絞って、

声を掛けました。

「誰も来てくれないので……」
「無料でいいので、一緒にサッカーしませんか?」

その子は、

笑顔で頷いてくれました。

あの日の僕は、

会社を大きくしたいなんて

思っていませんでした。

成功したいとも思っていません。

ただ、

「目の前のこの子だけは、絶対に楽しませて帰ろう。
 僕がサッカー人生で学んだことを、全部この子に伝えよう。」

それだけでした。

練習が終わると、

その子は笑顔で言いました。

「楽しかった!」

その一言が、嬉しかった。

本当に嬉しかった。

「こんな僕でも、

 誰かを喜ばせることができるんだ。」

そう思えた瞬間でした。

後日、その子のお母さんが、

なんと友達まで連れてきてくれました。

4人になりました。

嬉しいというより、驚きでした。

「え?また来てくれるの?」

その時、

僕の中で何かが変わりました。

この子たちに、

「ここへ来てよかった。」

そう思ってもらえる人になろう。

この保護者の方に、

「哲郎コーチに預けてよかった。」

そう言ってもらえる仕事をしよう。

それが、

僕のスポーツビジネスの始まりでした。

あれから20年近くが経ちました。

実は、あの日最初に出会ったA君は、

大学生になってから、

クラブへ会いに来てくれました。

懐かしい話をした後、彼が言いました。

「僕も起業したいです。」

その瞬間、胸がいっぱいになりました。

売上が伸びた時とも違う。

会社が大きくなった時とも違う。

言葉にできないほど、嬉しかった。

あの日、

僕はA君にサッカーを教えたつもりでした。

でも、

教えられていたのは、

僕の方だったのかもしれません。

目の前の一人と、

本気で向き合うこと。

その積み重ねが、

やがて誰かの人生を変え、

巡り巡って、

自分の人生まで変えていくこと。

サンビスカス沖縄も、

スポビジ大学も、

僕の仕事は全部、

あの日、

たった一人の子どもから教わったことの延長線上にあります。

もし、あの時、

1000枚のチラシが大成功していたら、

僕は、

この一番大切なことに気付けなかったかもしれません。

だから今では、あの日の失敗に、

心から感謝しています。

今日の一言

『人生を変えるのは、大勢との出会いじゃない。目の前の一人との本気の出会いだ。』

P.S.

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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この記事を書いた人

スポビジ大学は、スポーツを仕事にする全ての人達が理想のライフスタイルを手に入れる事を目的にしたコミュニティとして活動を開始。スポーツという分野の仕事を選び、その人だけではなく、その人自身の関わる人達をも幸せにするようなビジネスを作れる「スポーツ起業家」を輩出するために奮闘中。これまで現役のアスリートはもちろんのこと、「実績が無い」と呼ばれる多くの人達の成果にも貢献し、全国各地にスポーツを通じた「価値」を提供している経営者を育成している。

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